糖尿病になるのはどんな人

 国民病ともいわれている生活習慣病の代表格となる糖尿病ですが、症状が現れる人にはどのような特徴があるのか調査が進んでいます。
 糖尿病と指摘された人について老若男女を分類した場合、調査からは明らかに男性のほうが糖尿病になる割合が多いとされています。これは生活習慣の差によると考えられています。男性のほうが仕事などのストレスによって飲酒や喫煙、運動不足などの不摂生な習慣を持ってしまう傾向が強く、このような習慣が発症の危険性に反映するとされています。加えて、遺伝的な要素が重なって高血糖などの症状が出やすいことにつながっていきます。
 男性の場合年代別に見ると、20代は発症率が低く、30代、40代、50代と次々と発症率が上がっていきます。これは、不摂生な生活習慣が蓄積されたためといえます。暴飲暴食や運動不足、無制限な喫煙などは年代が若いほどしがちで、発症後の進行も同様に若いほど早いことが知られています。また、糖尿病性の合併症(腎症・網膜症・神経障害)も年代によって症状の進行スピードが変わります。そのため、若い時期の発症を防ぐことが予防の観点では大切です。
 一方、女性の場合も男性同様に、20代の発症率が低く、年代を経るごとに発症率が上がっていきます。不摂生な生活習慣が糖尿病のきっかけになることは性別を問わず同じです。男性との大きな違いとして、女性特有の妊娠糖尿病の症状が挙げられます。これは、妊娠中は糖に対する耐性が低下しして血糖値が高くなるというもので、出産後には通常の値まで戻ることが特徴です。治療には他の糖尿病と同じく、食事療法や運動療法を行います。また、胎児への影響を考え、飲み薬は極力使わずに、インスリン製剤の投与なども行われる場合があります。

意外にも塩分とも関係がある糖尿病

 糖尿病ではカロリーや甘いものの取り過ぎによって症状が重くなるイメージがあり、塩分に関しては摂取を控える必要がないという方もいます。しかし、直接糖尿病の原因にならなくても、塩分の取りすぎによっても糖尿病の症状は悪化してしまうため、塩分量をコントロールする必要があります。
 塩分を取り過ぎることで高血圧になることはよく知られていますが、糖尿病においてはこの高血圧によって合併症の発症を促進するリスクをもっています。これは尿病患者の高グルコース値の血液は血管の壁を傷付けやすく、高血圧症の方は血管の損傷がさらに加速するためです。例えば、三大合併症のひとつである糖尿病性腎症の進行を早めてしまう危険があり、重篤な症状場合には人工透析の必要に迫られてしまいます。また、もうひとつの三大合併症である糖尿病網膜症の悪化にも関係しているとの報告もあります。そのほかにも通常の高血圧による心筋梗塞や脳梗塞のリスクも抱え込んでしまうため、好ましい状況ではないのは明らかです。
 塩分摂取量は食事制限によってコントロールすることができますが、どの程度の摂取量が望ましいかについてはおおよそ次のような基準があるとされています。高血圧症のない方は一日10g未満で、高血圧症のある方は一日6g未満が推奨されています。ただし、これらの値は推奨であって、少なければ少ないほど体へのダメージを抑えることが可能です。また、日本人はもともと食生活に塩分が多いとされており、高血圧症の割合も多いため、自然糖尿病患者の中にも高血圧症の方は多数います。そのためこのような状況を反映し、糖尿病食はカロリーや糖分だけではなく、塩分も控えた非常に薄味の味付けになっています。

糖尿病を悪化させないためには生活習慣を変える

 糖尿病と診断された方は、悪化させないためにも生活習慣を変える必要があります。糖尿病の方は、血糖コントロールのためにも毎日の食事が大事になります。医師から指導されたカロリーを守ることが大切です。1日3回朝、昼、夜と栄養バランスの良い食事をしましょう。食べすぎでしまう方は、よく噛んで食べると満腹感が出てきます。外食やお惣菜は、塩分やカロリーが高いことが多いので、できるだけ食事は手作りのものを食べましょう。最近では、ヘルシーなレストランや、お弁当の配達サービスで塩分量カロリーが書いてあるものもあります。ラーメンやうどんなどの汁は残して、塩分を少なくしましょう。食べる順番は一番に野菜や海草類で、次にたんぱく質のお肉や魚、最後に炭水化物になります。野菜や海草類を最初に食べることで、食物繊維の糖質の吸収を抑制し、血糖値が上がるのを防いでくれます。
 糖尿病の改善には、1日30分の時間を確保しウォーキングが効果があると研究で報告されています。1日の歩く時間が多いほど、脳卒中や心臓病、動脈硬化になる割合も減ってきます。毎日運動するのが難しい方は、生活の中に歩くことを取り入れましょう。通勤や買い物に行くのに車をやめて自転車や歩いて行ったり、エレベーターに乗らないで階段を使います。テレビを見ながらストレッチをしたり、ふくらはぎのマッサージをするだけでも血行がよくなります。
 糖尿病の合併症の多くは、血糖値が高くなり血管障害によっておこります。たばこやお酒は血液をドロドロにして、血管障害を起こしやすくなるので、避けましょう。睡眠ストレスも糖尿病にはマイナスです。睡眠不足になると自律神経が乱れてストレスを感じやすくなります。できるだけ夜は早く寝るようにして体と心を休ませましょう。